IOTPD国際会議 2025 トロント開催報告

― ダンサーのキャリア支援をめぐる国際連携と40年の歴史を祝して ―

2025年10月22日〜24日、カナダ・トロントにて、カナダの姉妹団体 Dancer Transition Resource Centre(DTRC)主催のもと IOTPD国際会議 が開催されました。今年はDTRCの創立40周年の節目と重なり、特別な意義をもつ会合となりました。

参加国は、オランダ、カナダ、フランス、英国、スイス、日本、米国、スペインの 8カ国
キャリア支援の現状、共通課題、そして国際連携の強化について活発な意見交換が行われました。

日本からは Dancers Career Support(DCS) が加盟団体として初めて正式参加。日本がダンサーキャリア支援の国際ネットワークに本格的に参画する、大きな節目となりました。

会期中には、DTRC創立40周年記念式典、DTRC国際パネル、Fall for Dance North(FFDN)のガラ公演、ユニオン駅でのオープンリハーサルなど、貴重な国際交流プログラムも行われました。

■ IOTPD国際会議:各国の現状と課題を共有

会議では、各国が提供するプログラムやサービス、組織が抱える課題について共有しました。
ダンス界の構造は国ごとに大きく異なる一方、ダンサーが直面するキャリア・健康・社会的認知などの課題は驚くほど共通していることが改めて確認されました。

1993年ローザンヌ宣言、2004年モナコ宣言で示された
「ダンサーのキャリアを社会全体で支える」
という原点に立ち返り、国際的なノウハウ交換、IOTPDの認知度向上、多様化するダンスジャンルへの対応、ダンサーの国際移動に伴う支援連携、企業・教育機関との協働などが議論されました。

来年はオランダNGO50周年、スイス(ドイツ語圏)NGO10周年を迎え、IOTPDの国際協力はさらに深化する見通しです。

■ DTRC国際パネル:6カ国が登壇

国際パネルには、オランダ、カナダ、フランス、英国、スイス、日本の6カ国が登壇。一般にも公開され、各組織の成り立ち、提供サービス、共通課題、ダンス界の多様化への対応、国際連携の重要性など、実務に根ざした議論が展開されました。
会場からの質疑も多く、非常に充実したセッションとなりました。


■ DTRC創立40周年記念式典:歴史と継承

DTRCは1985年創立の、世界でも最初期のダンサーキャリア支援NGOです。
式典では、創設者 Joysanne Sidimus 氏 をはじめ、創設時メンバーや歴代会長が登壇し、40年の歩みと当時の苦労が語られました。

懇親会の場では、Sidimus氏と直接対話する機会もあり、スタートアップ期にあるDCSへの温かいアドバイスが印象的でした。

「迷ったらダンサーに聞け。答えはいつもダンサーがもっている。」
Joysanne Sidimus, Life after Dance

(左から日本代表、英国代表、Sidimus氏、スイス代表、フランス代表、カナダ代表)

■ FFDNフェスティバル:国際交流の美しいフィナーレ

会期中には Fall for Dance North(FFDN)2025 ガラ公演 が開催され、インド民族舞踊「カザック」と英国ロイヤル・バレエ団の特別共演が大きな話題を呼びました。特にロイヤル・バレエ団からは、プリンシパル・平野亮一さんが出演し、世界水準の舞台表現で観客を魅了しました。

https://www.ffdnorth.com/kathak-ballet-signature-programme-3

■ トロント・ユニオン駅オープンリハーサル

トロント・ユニオン駅では、様々な舞踊団によるオープンリハーサルが行われ、市民や観光客が自由にダンスに触れられる空間がつくられました。文化と生活が自然に交差するすばらしいひと時でした。

https://www.instagram.com/p/DQZWYIgka09

■ 国際連帯の深化と未来への布石

今回の一連の交流を通じ、国境を越えた協働の必要性 がこれまで以上に明確になりました。 IOTPDは今後も「ダンサーが尊厳と希望をもってキャリアを築ける世界」の実現に向けて連携を強めていきます。DCSもその一員として、日本から積極的に貢献してまいります。

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